友達だよね…⑯
5月に入って、Sは仕事場の近くで
念願の1人暮らしをはじめた。
幼馴染なくらいだし、今までは家も近かったけれど
少し離れたところにワンルームをかりて住んでいる。
離れているとは言っても、夜なら車で40分くらいかな?
そんな状況になるし、Mちゃんは
「少し距離が出来るし、今までみたいには
会えなくなるから、忘れられる。
今までは近くにいすぎたから…」
って、言っていた。
「そっかぁ…でも、忘れるのって努力して
出来るものでもないと思うよ。『忘れよう、忘れよう』
って思えば思うほど、忘れられないと思うし…
遠くなって、余計に想いが募っちゃったりしない?」
「もう、きっと大丈夫だと思う。会わなくなれば…」
Sが引っ越すって決まった頃、そんな話をした。
SはSで、念願の1人暮しにウキウキしていた。
まずはお部屋探し、決まったら家具や家電に
生活雑貨などを揃え…
と、GWは引越し関係に費やしていた。
「たまには遊びに行くよ~。」
「電車なくなって帰れなくなったら、お邪魔するわ。」
「もえは、ただじゃ返さないけどね…」
「Sってば、なぁに言ってるのさ~」
なんて、冗談まじりの話をSとした。
でも…Mちゃんの『恋の病』は重症のようでした。
やっぱり好きだし、会いたくなっちゃうんだよね。
Sが引越しをしてまだ半月も経たないけど
彼女はもう3回もSの家へ遊びに行っていた…
(もえはそのうちの1度お供しました)
そのうち2回は1人で泊まってきている。
と言うか、夜に行って朝になってるみたいな感じ?
Sは仕事もあるし、何時の間にか寝てしまうみたい。
「また行っちゃったの~!?」
なんて茶化したりもしたけど、
それでも、一緒に居るだけで幸せなんだから、
人を好きになることは素敵なことだし
良いんじゃないかと思ってた。
昨日の夜、Mちゃんから電話があって
「もえ…私、今からSのところに行って、撃沈してくる…」
とMちゃんは私に言った。
「え!?げ、撃沈って…告白ってこと?」
「うん…そう。なんか、前に私が言った時も
あいまいな感じで言って、あいまいな感じの返事だったから
忘れられないと思うんだよね…ハッキリ言って、
ハッキリ断られれば諦めもつくと思うんだよね。」
「そっかぁ…Mちゃんがそう思うなら
後悔しないようにした方が良いと思うよ。」
「うん、じゃあ今からSのところに行って来る!」
「焦らず無理せず…がんばってね。」
「ありがとう、頑張るよ~。」
と、電話がかかってきたのが9時過ぎ…
Mちゃんも今ごろ告白してるのかな?
がんばれ…Mちゃん。
なんて思いながら『あいのり』観てた。
Mちゃんの場合は、あいのりみたいに
チケットは無いけど。。。
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